シロウ's ゲームレビュー(仮)

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【任天堂VSソニー】超人気ハード同士の真逆の戦略

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今回はゲーム業界の超大手企業、ハードホルダーでライバルとも言える任天堂ソニーの戦略の違いについて紹介したいと思います

 

とはいっても堅苦しい業績のグラフなどを用いるつもりはないので、大まかにどんな戦略で利益を追求しているのかを確認していきたいと思います。

 

目次

 

ソニーはとにかく超薄利多売戦略

ゲーム業界というのは全体で見ても基本的に薄利多売戦略なのですが、その中でも任天堂と比較するとソニーはその傾向が特に強いです。

 

ゲームハードの性能と値段

発売時の価格を比較すると、ソニーのゲーム機(プレイステーション)は、価格が4~6万円、一方任天堂のゲーム機は2.5~3万円となっており、基本的にソニーのゲーム機の方が高いです。

 

しかし中身の性能を考慮すると、ソニーのゲーム機はかなりの逆ザヤ(赤字)で売り出しています

 

任天堂のハードも電子機器として見ればかなりコスパは良いのですが、ソニーのハードは異常なくらいの安さで売り出しています。

 

しかも、ハードのライフサイクルの後半になるとソニーのハードは順次値下げしていく(PS5はなぜか値上がりしましたが)ので、常に赤字覚悟でハードをばらまいていると言えます。

そのせいで酷い転売被害に毎回あっているのが悲しいところですが。

 

一方の任天堂のハードは、ライフサイクルの後半になって電子機器の原価が下がってきても、値下げをほとんど行いません

 

一見するとソニーのハードの方が理にかなった売り方をしているように感じますが、任天堂の売り方にもメリットはあります。

 

まず、ハードの値下げをしないので早期に購入した方がお得である、という感覚を生ませることができます

 

ソニーのハードはどうせ値下げするからその時買おう、という層が一定数いると思いますが、任天堂の場合はそのような買い控えを起こさせない強みがあります。

ハード立ち上がり時期の販売台数は重要なので、その時期に買い控えさせないという強みは大きいです。

 

また、当然ながら製造原価が安くなるライフサイクル後半の一台あたりの販売利益が大きくなるというメリットもあります。

 

ソフトの値段の比較

ファーストパーティ製のソフトの値段を比較すると、両者全く逆の戦略を取っていることが分かります。

 

例として、以下のソフトを紹介します。

どちらもスイッチとPS4の代表的なAAAタイトル。

ゼルダの伝説ブレスオブザワイルドとホライゾンゼロドーンはそれぞれスイッチとPS4の代表的なゲームソフトで、2017年のほぼ同時期に発売されたソフトです。

 

発売時の価格は大きな差はありませんでしたが、5年以上経った今比較すると値段が全く違うことが分かります。

 

ブレスオブザワイルドは発売時の値段のまま、一方ホライゾンは追加コンテンツも同梱されている完全版にも関わらずたったの2000円強で購入できます(ブレスオブザワイルドはさらに別売りのDLCがあります)。

 

しかも、ホライゾンゼロドーンを含むソニー製のタイトルは頻繁にセールを行っており、この値段からさらに半額になったりします

 

一方、任天堂製のゲームはほぼセール対象にならないので、新品を購入する場合はいつ購入するにしても発売時の定価で購入することになります。

 

ハードの販売戦略と同じく、ここでもソニーは超薄利多売で随時値段を下げていき、一方任天堂は一本ごとの販売利益重視で、早期購入者に損をさせない売り方をしています

 

 

ゲームハードの設計思想の違い

ゲームに少し詳しい方ならご存知だと思いますが、任天堂ソニーのハードの設計に置ける方向性は全く違います。

 

ソニーはとにかくハイエンド志向

ソニーのゲームハードはいつの時代も、その時積むことができる最先端の技術をハードに盛り込んでいます。

特にグラフィックの美しさへのこだわりは強く、代々フォトリアルな映像美を求めて積められる限りのグラフィック性能を搭載しています。

 

いってしまえばパソコンの延長線上で作られているゲーム機で、とにかくアピールポイントはその高いCPU・GPU性能に集約されます。

 

ただ、そのような最新技術を搭載するので、ハードの製造原価が非常に高くなるのがデメリットとも言えます。

 

任天堂枯れた技術の水平思考

任天堂開発部の優秀な社員が用いていた概念である、枯れた技術の水平思考

 

これはコストのかかる最新技術で勝負するのではなく、長年使われてきた安い枯れた技術の転用や組み合わせで新たな価値を生み出そうとする考え方です。

 

言わばアイディア勝負と言える考え方で、柔軟な発想によりスイッチのような携帯・据え置きを統合した柔軟性のあるハードや、Wiiのような直感的に誰でも遊べる革新的なハードを提供することに成功しています。

 

 

ソフトにおいてもソニーは力技、任天堂はアイディア勝負

以上のようなハード設計の違いから、ソニーはとにかく小細工無しの性能勝負で、任天堂はアイディア勝負の販売戦略ということが分かると思います。

 

ハードに限らずソフトにおいてもその傾向が現れています。

 

ソニーが大々的に提供するゲームの多くは性能を余すところなく使うような、処理の重いフォトリアルなタイトルであり、AAAタイトルを主なアピールポイントにしています。

これらのソフトには大抵新しい技術が使われたりもしていて、とにかく性能由来の技術力を見せつけるのがアピールポイントの1つになっています

 

一方任天堂製のタイトルは必ずしも処理の重いゲームではなく、映像もフォトリアルよりはデフォルメされた可愛らしいグラフィックのキャラクターが多いです。

 

映像美よりもゲーム性の面白さに主軸を置いていて、任天堂を代表するソフトには大抵他のソフトにはないシステムの面白さが詰め込まれています

 

ブレスオブザワイルドの崖登りや、スプラトゥーンの塗った面積で勝敗を決めるシステムは、まさにそのような新しいシステムの面白さを提供していました。

 

 

任天堂はファーストパーティ製ソフトがとにかく強い

先程任天堂のソフトは値下げされないという話をしましたが、裏を返せば値下げしなくても安定して売れ続ける魅力が任天堂のソフトにはあるということです。

 

ぱっと思いつくだけでも

などなど、様々なアイコニックなキャラクターがすぐに思いつきます。

もちろんどれもメガトン級のヒットタイトルばかり。

 

このように、任天堂は非常に強力なIPをいくつも所有しているので、自社のソフトの魅力だけでもゲーム事業を牽引する力があります

 

一方のソニープレイステーションは、残念ながら老若男女問わず知れ渡っているキャラクターというのはほとんどいません

 

ゲーマーならばたくさん思いつくでしょうが、非ゲーマーにも知られるようなアイコニックなキャラクターというのがほとんどいません。

 

ソフトの売上を見てみても、大抵任天堂のゲーム機で上位に来るのは任天堂製のタイトルばかり。

 

スイッチではその限りでもありませんが、WiiUまではその傾向が特に強かったです。

 

また、ソニーは独占タイトルのあり方を変えようとしているようで、PS5で展開していた独占タイトルを次々とPCにも供給しています。

 

 

任天堂は勢いを大事に、ソニーはコンスタントな販売利益を大事に

任天堂GCWiiWiiU→スイッチの場合を除き、前世代機で展開していたソフトのリマスターや完全版としての発売をあまり積極的にはしてこなかった印象です。

 

もっと正確に言うと、失敗したハードのソフトを次のハードでリマスターなどとして再販する場合が多いです。

 

逆にソニーは、成功したハードのソフトを、あまり売れていないハードの販売促進のために積極的にリマスターする傾向があるように感じます。

 

また、単なるリマスターではなくデビルメイクライ5やデスストランディングFF7リメイクなどは次世代機専用の追加コンテンツがあったりするので、完全版商法だと問題になったりもしています。

 

任天堂Wii・DS・Switchのように勢いのあるうちにたくさん稼いで、WiiUのように販売が振るわない時期に備えるという波のある経営の仕方をしていますが、それに対しソニーはどのハードでも一定数以上の販売台数が見込めるように、リソースを振り分けながら経営してきた違いがあります。

 

どちらが良いか悪いかなどは判断できませんが、どちらの方針にしろここまでの成功を収めているのは事実なので、両陣営にはかなり優秀な人材が揃っていることが伺えます。

 

また、いわゆる縦マルチと呼ばれる販売形態が多いのもソニーの特徴で、PS3PS4PS4とPS5など、新ハードの発売後暫くの間は前世代ハードにもソフトが供給される特徴があります。

 

一方任天堂はハードの発売直後はそのような縦マルチでの販売も少しありますが、一度新ハードが出ればほとんどのソフトの供給は新ハードのみで行われます

 

最初期に新しい世代の勢いを作ることを任天堂は大事にしていて、ソニーはある程度新ハードが普及するまではソフトの販売利益を優先する傾向があります。

 

 

任天堂はゲーム業界のみ、ソニーは様々な業界で事業を行っている

任天堂は皆が知っているようにゲーム事業を中心に利益を出していますが、ソニーは多様な事業の一環としてゲーム事業を行っています。

 

ソニーには音楽・映画・金融などゲーム事業以外にも多くの稼ぎ頭になる事業があります。

 

そのような関係で一般消費者のみをターゲットにしている任天堂と違い、ソニーは会社相手にもビジネスを広く行っているので、1つの事業がうまく行かなくても他の事業で資金を調達できる強みがあります。

 

だからこそ、ゲーム事業のみの任天堂は営業利益をたくさん溜め込んで冬の時代に備えるような経営スタイルになっていると考えられます。

 

 

両者に共通するのはインディーズタイトルの重要性

グラフィックにこだわったゲームソフトの開発規模が膨れ上がるに連れて、大規模な経費をかけて作られたタイトルはAAAと呼ばれるようになり、それに対し少人数・低予算で作るソフトはインディーズと呼ばれるようになりました

 

中でも近年注目されるようになったのはインディーズタイトルです。

 

制作に莫大な時間とお金がかかり、そうたくさんは供給できない大型タイトルと違い、最低1人でも製作可能なことから今ではとんでもない数のインディーズソフトが日夜発売されています。

 

何が注目作になるのかは蓋を開けてみないと分かりませんが、まさに玉石混交なインディーズタイトルには無限の可能性が秘められているので、任天堂ソニーもこれらの小規模タイトルの開発を支援し、できるだけ多く自社のハードで発売してもらうように努力しています。

 

ただしソニーはヒットしたインディーズタイトルを選出して発売しているのに対し、任天堂はPCと同じように玉石混交なインディーズタイトルを発売している印象です。

 

以上のようなことから、任天堂自社製の魅力的な大型タイトル+多種多様なインディーズタイトルで広範囲のニーズをカバーしており、一方ソニー自社・他社問わず超大型のAAAタイトル+魅力的なインディーズタイトルでコアなゲーマー中心のニーズをカバーしているといえると言えます

 

 

誰か忘れているような...

第三の刺客

日本ではかなり存在感の薄いXboxというハードがあります。

あのマイクロソフトが販売するハードですが、いまいち売れている印象がなく、魅力的な独占ソフトも不足している状況です。

 

しかし、Xboxにも、他社には無い2つの魅力があります。それは

です。

良くも悪くも特徴が薄いXboxですが、他のゲーム機に無い魅力といえばやはりXboxゲームパスです

 

月額1000円くらいで新作を含む非常に多くのタイトルが遊び放題になります。

これを目当てにXboxを購入する人もいるのではないでしょうか。

 

また、意外とコントローラーの評判も良く、PCでゲームをする人の多くはこのXboxのパッドを使うのだとか

 

確かに見た目がかなりシンプルで癖がなさそうです。

 

ただXboxの1番の欠点は、本当の意味での独占ソフトが皆無な点です。

PSやスイッチで遊べないタイトルはありますが、PCに全てのソフトが供給されているので、PCゲーマーからするとほとんど買う意味がありません。

 

 

まとめ

私は任天堂ソニーのゲーム機はどちらも所有していて、どちらのゲームハードも大好きなのですが、今回調べてみると改めて両者は対極に位置するような経営戦略の違いがあることが分かりました。

以上紹介したことをまとめます。

 

任天堂

  • 最新技術はあえて使わないものの、枯れた技術を使った面白いアイディアのゲームハードやゲームソフトの開発が上手い
  • ソフト一本毎の利益を大事に、自社の製品は時間が経っても値下げやセールはほとんどしないことから早期購入者に損がない
  • 特にゲームソフトのクオリティの高さと自社IPの多さは他を圧倒している
  • 面白いギミックはあるものの、ハードとしての満足度はソニーに一歩劣る
  • 若年層から高齢者層まで幅広い年齢層に受け入れられる自社製のソフト作りが上手い
  • ゲーム機の勢いを大事に、短期間に多くの利益を出し、冬の時代に備える
  • ゲーム業界1本で経営している
  • 自社製の大型タイトル+多種多様なインディーズタイトルで広範囲のニーズをカバー

 

ソニー

  • 最新技術をふんだんに盛り込んだ、コアゲーマーが好むハード作りに強みがある
  • とにかくハードもソフトも超薄利多売で、自社の製品は大幅な値下げやセールを頻繁に行うことから後から買う場合は安く購入できる
  • ゲームハードの完成度や幅広いジャンルのサードパーティ製ソフトの数は他を圧倒している
  • 自社スタジオによるソフト供給にも力は入れているが、そのクオリティやIPの知名度任天堂に一歩劣る
  • 20代~40代くらいの男性を中心としたコアなゲーマー層に刺さるソフト作りが、ファースト・サード問わずに強い
  • コンスタントな販売利益を大事に、リソースを分配して常に安定した成果を得る
  • ゲーム業界だけでなく映画・音楽などの分野でも事業を広げている
  • 超大型のAAAタイトル+魅力的なインディーズタイトルでコアゲーマー中心のニーズをカバー

 

WiiやDSが登場して以来、任天堂はゲームハードの性能競争から身を引きました。

この選択は多様なIPを所持する任天堂にとっては大成功だったようで、今では日本においてはゲームと言えばスイッチというような風潮が出来上がっています。

 

それだけでなく、スイッチは独占ソフトが非常に多いので、PCゲーマーもスイッチだけは合わせて購入している場合が多いようです。

 

決して性能勝負ではないけれど、絶妙になくてはならないポジションを確立した任天堂の今後に注目です。

 

また、PS5の供給不足や独占タイトルの不足で悩んでいるソニーも、後半どのように巻き返せるか見守りたいと思います。

 

このブログではゲームのコラムや僕がプレイしたゲームソフトのレビュー、購入した商品のレビューなどを行っているので、興味がありましたら他の記事も見ていただけるとお役に立てると思います。

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お読みいただきありがとうございましたm(_ _)m